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失敗しない翻訳発注5つの原則

 

- 失敗しない翻訳発注5つの原則/翻訳発注者のための心得-

 

初めて翻訳を外注するとき、どんなところに頼めばよいのか不安になります。大切なビジネス文書、少しでも品質が良く、少しでも安いところに発注したいものです。

 

翻訳発注時に気をつける5つのポイントをお教えします。

 

■原則1-「なんでもできます」には気をつける

あなたが依頼しようとする文書の内容はどんなものでしょうか。IT製品のカタログ?取引関係の契約書?医療機械の仕様書? さまざまな分野の文書があります。一般的なビジネス文書でなければ、それぞれに専門的な知識や分野固有の用語がふんだんに使われています。

 

一般に日本語の文章を読む時もそうですが、自分の知らない分野の専門文書は理解できないことが多いものです。これは翻訳でも同様です。あらゆる分野に精通した翻訳者はいません。

 

翻訳会社のホームページを覗くと「対応可能分野」として、あらゆる種類の分野を挙げている会社がよくあります。ITに始まって、特許、医薬、契約からエンターテイメントまで、これまでの実績が嫌というほと書かれています。

もちろん嘘はないでしょう。しかし、これは、その分野に“精通”していることを示しているわけではありません。

 

もし、あなたが高い費用を払って品質の良い翻訳を求めるのであれば、その分野に精通した翻訳会社を探すことです。その分野を多く手がけていれば、必然的にその分野の経験が豊富な翻訳者を抱えているということになります。そうした翻訳会社であれば、あなたの文書を一定の品質で翻訳できる可能性が高いと言えます。

 

■原則2-修正への対応を確認する

品質の高い文書を作成するには、チェックと修正が欠かせません。どんなに優秀な翻訳者でも、まったく不備のない翻訳文を一度で作ることはできません。用語、文法、言い回し、表現、解釈など、間違いがあったり、発注側の思惑と異なる場合があります。

 

そうした際、翻訳会社が快く修正に(それも何度も)応じてくれるかどうかは、あなたの会社の作業にとって大きな問題になる場合があります。A4一枚ぐらいの翻訳なら問題ありませんが、数十ページ、数百ページの翻訳となると、これはとても大きな負荷になります。

 

たとえば、ある訳文の表現を変更する場合、それに関連する箇所が数十箇所もあり、それを全部修正しなければならないようなケースでは、それだけで何時間も作業時間を取られることがあります。

 

翻訳会社によっては、翻訳した文章を送って、それで“納品”とするケースもよくあります。修正を依頼しても、これはクライアントサイドの修正だから別途費用がかかる、と言われるケースもよくあります。

 

翻訳を発注する前に、訳文の修正に対する対応について確認することも大切です。

 

■原則3-できれば同じ翻訳会社を使う

人それぞれに癖やスタイルがあるように、会社にも独自の決まりごとやスタイルがあります。文書にも、用語、表現、雰囲気、傾向などさまざまな側面があります。また、業界や技術に特化した表現や用語などもあります。

 

初めて依頼する翻訳会社では、こうしたことを最初からすべてを理解して取り入れることはできません。用語だけであれば、用語集があれば統一できますが、表現の傾向やニュアンスは無理でしょう。また、特有の技術等についても、最初から全部を理解することはできません。

 

こうしたことは、何度も繰り返し翻訳することで翻訳会社(または翻訳者)の中に蓄積していくものです。

 

最初によく吟味して翻訳会社を選び、もしその会社で不具合がなかったら、次もその会社に頼むのがベターです。最初はちょっとぎこちない文章があがったとしても、数回依頼すればあなたの意図する文章スタイルを身に付けてくれるものです。そうすれば、それ以降のあなたの手間は大幅に減ることでしょう。

 

そうした長い付き合いができる翻訳会社を選ぶことも大切です。

 

■原則4-編集者・校正者がいるか

原則2でも説明しましたが、翻訳者はプロですが、やはり誤字脱字があったり解釈の相違や表現がイマイチな箇所があったりして、一発で満足いく訳文が上がらないことも多々あります。

 

翻訳会社によっては、翻訳者が納品してきた訳文を、そのままお客様に納品する会社もあります。しかし、費用に見合った訳文を入手するためには、編集者や校正者が訳文に目を通して、ミスを修正したり、文章のブラッシュアップをしてもらう必要があります。

 

また、いつも同じ翻訳会社に依頼したとしても、必ずしも同じ翻訳者が手がけるとは限りません。そうした際も、編集者や校正者が同じであれば、同じ表現、同じニュアンス、同じ品質の訳文を納品してくれる可能性は高くなります。

 

実際には、編集や校正には、それなりのコストがかかります。よく、翻訳会社の業務内容を見ると「すべてネイティブチェック付き」という謳い文句を載せているところがありますが、同じ会社の謳い文句が「業界最低水準の翻訳料」であれば、ネイティブチェックは眉唾と思ったほうがよいでしょう。

 

もし、あなたがチェックも編集も自分でやるよ、というのであれば業界最低水準の翻訳料の会社を選ばれれば良いと思います。

 

そうではなく、一定以上の品質を求めるなら、あまり安いところは選ばずに、編集者や校正者の有無をよく確認することをお勧めします。

 

■原則5-翻訳のプロセスを確認する

それぞれの翻訳会社では、独自のプロセスで作業を進めます。この中で、知っておくと品質やコストに影響する仕組みについてピックアップしてみましょう。

 

●翻訳支援システムの利用(CAT)

マニュアルなどアップデートが多い文章の場合、翻訳支援システム(CAT)を活用すると、コストや品質が良くなります。

 

CATは、翻訳者や校正者の作業を支援するための翻訳専用のソフトウェアです。

 

コンピュータが自動的に翻訳をする「機械翻訳」とは異なりますので、ご注意ください。

 

CATの大きな機能として「翻訳メモリー」(TM)があります。TMは一度翻訳した原文と訳文を対にしたデータベースです。

 

新しい翻訳プロジェクトを作成する時、このTMを使って新しい文書の内容を検索し、過去に似たような文章を翻訳していれば、自動的に訳文候補を翻訳者に提示してくれます。

 

このため、過去に翻訳した(あるいは類似した)文章であれば翻訳が不要になるので、その分の費用が不要になります。

 

また、過去に翻訳してチェックが終わっている文章を使用するため、一定以上の品質が担保されます。

 

更新の多い文書、繰り返しの多い文書などを翻訳する際は、この翻訳支援システムの使用を確認してみるのもいいでしょう。

 

●用語集

翻訳品質を高める上でとても大きな要素が翻訳用語集です。どんな原文単語にどんな訳文単語を割り当てるかが翻訳の品質を大きく左右します。

 

特に専門分野の文書の翻訳では、用語集の品質が翻訳の最終品質を大きく左右します。

 

こうした用語集をお客様ごとに作成しているかどうかも、翻訳会社を選択する際の考慮事項になります。

 

また、用語というのは、時とともに揺れが生じます。状況が変化したり、新しい技術が出たりすると、同じ言葉を表すのに用語が変化する場合もよくあります。

 

そうした変化に敏感に反応して用語集をメンテナンスしているかどうかもポイントです。

 

大昔の辞書をそのまま使っているようでは、品質の確保はおぼつきません。

 

 

 

いかがでしたか?翻訳について少しご理解いただけたでしょうか?

 

ほんとうは、誰もがどんな言語でも理解できればいいのでしょうが、現実はそうはいきません。

 

理解の仲立ちをする翻訳は、いわば黒子のようなものです。なるべく目立たず人の役に立つ、つまり費用は安く誰もが読みやすくが理想です。

 

翻訳現場の状況を理解して、賢く翻訳を発注してください。

 

 

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