”わかりやすい”マニュアル制作講座
◀戻る
第25回 【レイアウト】フォントについて
見やすさ読みやすさを大きく左右する要素に「フォント(書体)」があります。
フォントはレイアウト上の大切な要素ですが、印刷時にも留意すべき点があります。
フォントの種類
ただ「フォント」という場合にも、いくつかの視点でその特徴や特性を把握する必要があります。
日本語と欧文
通常、デザインDTPをする場合、日本語フォントと欧文フォントの違いを認識する必要があります。
日本語フォントは、日本語の組版に使われるもので、漢字、カタカナ、ひらがな、記号など合わせて数千字におよびます。
一方、欧文フォントは通常アルファベットのフォントを指し、大文字小文字合わせても100字程度で構成されます。
デザイン
基本は、ゴシック系と明朝系の2種類になります。
欧文フォントではセリフ系とサンセリフ系になります。
ゴシック系(サンセリフ系)は文字の太さが一定で、力強い印象を与えます。
見出しなどに多く用いられます。
一方、明朝系(セリフ系)は文字の太さに変化があり、ハネなどもあり、柔らかい印象があります。
強い印象の文字ばかりで本文を構成すると、読み進めるうちに疲れるなどの逆効果を起こすことがあります。
目的や内容にあったフォントを選ぶことが、読みやすさ見やすさの秘訣です。
サイズ・ウェイト
文字の大きい小さいも、可読性やわかりやすさに影響を与えます。
見出しは少し大きいサイズにして目立たせたほうがいいでしょうし、脚注などは小さいサイズにするのが一般的です。
「ウェイト」というのは、文字の太さのことです。
同じフォントでも、細いのから太いのまで数種類のウェイトが用意されているのが普通です。
たとえば、よく使われるヒラギノゴシックというフォントであれば、1~9まで6種類のウェイト(太さ)を選ぶことができます。
いっぽう、Windows標準のMSゴシックなどはウェイトの選択ができないので、強調するときは太字(ボールド)をかけて画像的に太くします。
フォント選択の留意点
WindowsとMac
最近では、同じアプリケーションならWindows版でもMac版でも作成したデータに互換性のあるケースが増えました。
ただ、フォントにはWindows版、Mac版があるものがあるので確認しておく必要があります。
同じフォント名でもWindows用とMac用で違いがあり、いざWindowsで作ったDTPデータをMacで開こうとすると正しく表示されないケースもあります。
印刷所に同じフォントがあるか
印刷をする場合、DTPデータを印刷所に入稿して印刷用に変換してもらいます。
その際に、DTPデータに使われているフォントが印刷所側にないと正しく印刷されません。
事前にフォントについて確認しておく必要あります。
フォント問題を回避するには2つの方法があります。
1)フォントのアウトラインを作成する
Illustratorで版下を作成した場合は、フォントを「アウトライン化」します。
これは、フォントのアウトラインを取り出して画像化する作業です。
アウトライン化した文字は編集できませんが、画像なのでどこでも印刷することができます。
2)フォントを埋め込んだPDFを作成する
PDFには「フォントを埋め込む」という機能があります。
フォントを埋め込んだPDFを印刷所に入稿するとどこでも印刷することができます。
ただし、埋め込むことができないフォントもあるので、すべてのフォントが埋め込まれているか確認してから入稿します。
デザインの良いフォントを選ぶ
フォントには何百、何千という種類があります。
中にはデザインの悪いフォントもあります。
適切でないフォントを使うと、読む側が疲れてしまいます。
また、デザインが悪いとマニュアルに対する印象も悪くなり、結果的に内容に不信感を持ち「わかりにくい」という印象を持つこともあります。
OSにオマケで付いてくるフォントだけで済ませず、デザインの良いフォントを探して使いましょう。
株式会社 ワカール