”わかりやすい”マニュアル制作講座
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第23回 【レイアウト】版下の色数について
印刷物には、黒(グレー)だけのものやカラーのものなど、いろいろな種類があります。
デザインを決める際には、目的や用途に応じて色数を決定する必要があります。
印刷のしくみ
色数は、印刷の際に必要になる要素です。
PDFで提供する場合は、見た目以外は大きな問題にはなりません。
なぜ、印刷で色数が重要かを説明しましょう。
マニュアルを印刷する場合、多くは「オフセット方式」の印刷機を使用します。
これは、印刷の版を作り、そこにインキを乗せて、そのインキを用紙に転写することで印刷物を作成します。
このとき、インキの色に合わせて、それぞれ対応する版を用意します。
黒インキには黒版、赤インキには赤版という具合に、個別の版を使用します。
この版の数が印刷で使う色数になります。
選べる色数
通常、オフセットで印刷する場合、次のような色数を選択することができます。
1色
単色(モノクロ)の印刷です。
通常は黒インキを使い、黒の0~100%の濃淡(グレー)で印刷します。
マニュアルでは、この1色印刷が多く使われます。
黒インキ以外の色でモノクロ印刷することもできます。
2色
2つのインキを使って印刷します。
たとえば、黒インキ+赤インキなどを組み合わせます。
この場合、黒0~100%と赤0~100%と黒と赤の掛け合わせで表現することができます。
マニュアルでは、大切な部分や目立たせたい箇所に赤を用いるなどの使い方がされます。
4色
いわゆるカラー印刷です。
オフセットでは、CMYKの4色であらゆる色域をカバーする表現ができます。
この、C=シアン/M=マゼンダ/Y=イエロー/K=ブラックの各インキをかけ合わせて印刷します。
これ以外にも5色、6色など特殊な印刷がありますが、マニュアルで使われることはほとんどありません。
色数選択時の留意点
表現
文字中心の本、たとえば小説などは、ほとんど1色で印刷されています。
文字がいろいろな色で印刷されていると、読み進めるうちに疲れてしまいます。
このため、黒やグレーだけのほうが可読性が高くなります。
一方、イラスト、図、グラフ、写真などは、カラーで印刷されている方が自然な感じを受けたり、差異を見分けやすくなります。
内容に合わせて適切な色数を選択する必要があります。
コスト
1色印刷と4色印刷では、倍以上のコストの開きがあります。
部数が増えるとその差はとても大きくなります。
内容とともに予算も見合わせて色数を選択します。
手間
色数が増えると、デザイン・レイアウトの手間も大きくなります。
色の指定、全体のバランス、統一感など細かい配慮が必要になります。
また、イラストや図なども、カラーで作成するときは、モノクロのときより手間が大幅に増えます。
株式会社 ワカール